小倉あつしの思うままに

　この季節、朝の散歩は既に気温が上がっているけれど、流れる汗が心地良い。

　私の住んでいる所からは、ゆっくり歩いて約10分で、天竜川の堤防に行きつくことができます。その途中では、緑々（アオアオ）とした田んぼが続きます。市街地では、味わえない「市街化調整区域」の景観でもあります。でも、分家住宅等が道沿いに連なり「田舎の町」の感じでしょうか。
　
　すれ違う方と朝の挨拶をしつつ、はや堤防に着いてしまいます。朝6時の堤防を上がってみると相当数の車が行き交い、河川敷にはすぐ渡れないこともしばしばです。

　河川敷に降りると、空間が急に広がり、水平方向180度以上、垂直方向90度以上を見渡す感覚が、日常と違うことを実感させます。大げさではと思いますが日頃、車に乗って移動する時間が多いと、いかに視野が狭まっているかを実感したりするのです。だから、ほぼ歩くコースは決まっているものの、それまでの直線的な道を遠近法の中で歩いてくると「異空間」の出現に、思わず毎日歩くコースを少しずつ変えては、景色を楽しみます。

　まちなかでは、味わえない何千坪～という「自分の庭」を散歩できるちょっとした喜びが、貴重な天竜川流域に住む人々の恩恵の一つなのかなと思います。